それでもキミをあきらめない
「どうして……ここにいるの」
「……学校だとセイがいて、話せないから」
オレンジ色に膨れた太陽が、西の空に輝いている。
高槻くんの顔は、感情を失ったのか、抑え込んでいるのか、
わずかな変化すら見せない無表情だった。
「話すことなんて……ないよ」
彼のわたしへの告白は、賭けに負けたことによる罰ゲームで、『ありえないこと』だった。
それが、すべてだ。
星野彗よりも背丈のある細長い身体に、着崩した制服がよく似合って、
ピアスホールのない耳も、艶のある黒髪も、涼しげな二重の目も、全部がかっこいい。
すべてがわたしの理想。
でも、高槻くんは、罰ゲームの相手として、わたしを選んだ。
わたしは、高槻くんにとって、ありえない相手でしかなかった。