それでもキミをあきらめない
――許せない。
「好きだった、高槻くんのこと」
土砂降りの雨に打たれた紙切れのように、
もろく、柔らかく、わたしの心はちぎれていく。
一瞬、ほっとしたような表情を見せた彼が、わたしの言葉で凍りつく。
「でも、もう、嫌いになった」
甘いシロップみたいだった復讐の言葉は、どういうわけか今はすごく苦くて。
胸が焼け焦げてしまいそう。
「だからもう……わたしの前に、現れないで」
高槻くんの腕を今度こそ振りきって、
全身を軋ませる痛みに耐えながら、自宅に帰ろうとしたとき、
門の手前で身動きが取れなくなった。
持っていたカバンがアスファルトに落ちる。
ふわりと漂う香りと、背中から伝わるぬくもり。