それでもキミをあきらめない
聞き慣れた声が、背後から響いて、
高槻くんの身体がこわばったのが分かった。
反対に、わたしの身体からは力が抜ける。
大嫌いだったはずなのに、
声を聞いただけでほっとしている自分が不思議だった。
「うちの妹から離れてくれるかな? ストーカーくん」
翔馬に言われ、高槻くんは慌ててわたしを開放する。
「ちが、俺……ぼくは」
弁解しようとする高槻くんの肩にいきなり腕を回し、兄は「あれぇ」とわざとらしい声を出した。
「どっかで見たことあると思ったら、もしかして君が罰ゲーム野郎くん?」
にやにやと笑みを浮かべながら、翔馬はちらりとわたしを見る。
「どうしちゃったわけ? うちの妹が急に惜しくなっちゃった?」
「そういうんじゃ」
「はいはい、話はそこの公園で聞こうか」