それでもキミをあきらめない
高槻くんの肩をつかんだまま、翔馬は強引に彼を連れて行こうとする。
「ま、待ってください。俺は、彼女と話が」
「えー?」
兄の目が、うかがうようにわたしをとらえる。
ふたりぶんの視線を受けて、わたしはぶんぶんと首を振った。
高槻くんと話すことなんか、ない。
「あはは、君、ずいぶん妹に嫌われちゃってんじゃんー」
軽薄な笑い声があたりに響く。
わたしは頑なに高槻くんのほうを見なかった。
視界に入れないように、地面を見つめる。
「ま、諦めろって。ほら行くぞ」
ずるずると兄に引きずられていく彼の姿を、見送ることもできず、
わたしはアスファルトに転がったカバンを拾い上げた。
そのとき、