それでもキミをあきらめない




「わたしの友人を侮辱するのは、やめてもらおう」




ドアに背を預けたまま、わたしは動けなかった。

口を両手で覆って、こみ上げる感情を抑える。


喉の奥が熱くて、破けそう。



――誰も、朝子と仲のいい友達には、なれない。



誰に対しても対等で、人間関係において『特別なもの』を作らない子なのだと思っていた。


頭がよくて、いつでも参考書を開いていて、マイペースで、

他人に無関心で、そのくせ、わたしの話を聞き流しているようで、ちゃんと聞いている朝子。


――わたしたちは、仲がいいわけじゃない。

――友達になろうと約束したわけでもないし、お互いに友達だとも思っていないかもしれない。


わたしが勝手に思い込んでいるだけだった。


彼女は、


朝子は……。




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