それでもキミをあきらめない
○。
川には自浄作用というものがある。
汚れた水は、流れに従って浮き沈みを繰り返し、あちこちで岩にぶつかり、
砂にろ過されて、汚れを落としたきれいな水に変化する。
黒くよどんだ心も、前を向いて歩いているうちに、いつのまにか色を変えるらしい。
棚にずらりと並んだクマのぬいぐるみから、真っ黒に塗りつぶしたメモ帳をすべて取り出す。
びりびりに破きながら放っていくと、ゴミ箱はあっというまにっぱいになってしまった。
「われながら、よくこんなに溜め込んだなぁ……」
呆れを通り越して感心してしまう。
それからわたしは、ゴミ箱の中身をゴミ袋にあけて口を閉じた。
「よし、完了」
ふと見ると、仲良く肩を寄せ合うクマたちも、
こころなし、ほっとしているように見えた。