それでもキミをあきらめない
「ほ、星野くん、おはよう」
別れの気まずさを吹き飛ばすくらい、態度の変わらない彼に驚きつつ挨拶をすると、
「ストップ。それ以上はこの子に近づかないでいただきたい」
思いがけず、朝子が席を立った。
「あ、朝子ちゃん……?」
「あん? なんだおまえ」
わたしをかばうように目の前に立ちはだかった彼女は、
学年ナンバー1の眼力にも屈せず、悠然と腕を組む。
「ちょっと約束をしたんでな。奈央に指一本触れさせるわけにはいかない」
「ああ? おまえ、なんの権利があって」
「それを言うなら、そちらだって、この子に触れていい権利なんてないはずだが」