それでもキミをあきらめない



「ほ、星野くん、おはよう」


別れの気まずさを吹き飛ばすくらい、態度の変わらない彼に驚きつつ挨拶をすると、


「ストップ。それ以上はこの子に近づかないでいただきたい」


思いがけず、朝子が席を立った。


「あ、朝子ちゃん……?」

「あん? なんだおまえ」


わたしをかばうように目の前に立ちはだかった彼女は、

学年ナンバー1の眼力にも屈せず、悠然と腕を組む。


「ちょっと約束をしたんでな。奈央に指一本触れさせるわけにはいかない」

「ああ? おまえ、なんの権利があって」

「それを言うなら、そちらだって、この子に触れていい権利なんてないはずだが」



< 284 / 298 >

この作品をシェア

pagetop