それでもキミをあきらめない
いくら学年ナンバー1のアイドル男子といえども、
口では学年トップの秀才女子には敵わないらしい。
ぐっと息を詰める星野彗を尻目に、わたしは朝子の肩を叩いた。
「ねえ、約束って……」
そのとき、教室に背の高い男子生徒が走りこんできた。
教室内に、ぱっと花が咲いたかのような整った風貌に、わたしもクラスメイトたちも釘付けになる。
ここ数日、2組に入りびたりだった金髪アイドルとは、正反対のかっこよさを持つ、彼。
高槻くんは息を切らせながら、焦ったように星野彗の肩をつかんだ。
「何やってんだよ、セイ」
「なにって、見りゃ分かるだろ? 奈央ちゃんにおはようのハグをしようと思ったら、この女が」
指を差された朝子が、つんとした表情のまま席に戻る。
「高槻礼央。その下品な頭の男に、奈央は指一本、触れさせなかったからな」
「ああ、サンキュ、奥田」