それでもキミをあきらめない
高槻くんは背が高い。
身長150センチのわたしと並んで歩くと、その差は歴然だ。
だけど周囲からぶつけられる視線は、きっと身長差のせいだけじゃない。
家を出た頃はまだよかったものの、電車の中や、駅から学校までの道のりでは、同じ制服を着た生徒たちから痛いほどの視線を浴びた。
誰よりも目立たない生活を目指してきたわたしにとっては、針のむしろだ。
だらだらと冷や汗が止まらないわたしと違って、高槻くんはそよぐ風を受け止めるみたいに涼しい顔をしている。
きっと普段から注目を浴びているから、こんな状況には慣れているのだ。
となりを歩きながら、わたしたちはひと言もしゃべらなかった。
息苦しい沈黙に、何度も口を開きかけたけど、肝心の言葉が出てこない。