それでもキミをあきらめない
「わたし、ひとりで大丈夫だから、高槻くんは行ってきて」
「え、けど」
「売り子の要領はつかんだし、むしろ高槻くんがいないほうが、まずいパスタってバレないかもしれないし」
無理して笑ったせいで、頬が引きつりそうだった。
「ほら、彼女もそう言ってんだしさ。行こ行こ」
「だけど」
不自然な笑みに限界を感じて、わたしは「じゃあ」と背中を向けた。
呼び止められる前に、校庭を突っ切って校舎まで走る。
無我夢中で走っているうちにトレーからパスタが落ちそうになり、あわてて立ち止まると校門の前だった。
大きな看板にアーティスティックな文字で学園祭と書かれている。
思わずため息がこぼれた。