青春時代!



「私、井野嵐

大関の彼女

よろしく♡♡私服素敵ですね。」



最初は、は?しか頭になかった


鈴に呼ばれて、ファミレスに言ったら

こんな女がいた



たしか、橘と亮がすんごく嫌ってた女


「意味分かんねーし。鈴は?」

俺が言ったとき、ちょうど着信音が鳴った


ピッ
「もしもし?鈴?」

「ごめんな!龍!!誘っておいて....。

弟が泣き出しちゃって、留守番させとくにも置けなくて....。

少ししたら行くから!!!」

「はぁっ!?この女は!?」

「紹介したかったんだよ。お前に」



「まじで、彼女なわけ?」

正直、信じられなかったけど



「お、おう....。取ったら殺すぞ?またな!」

ピッ


あいつ、切るの早すぎ....。




「水無月龍でしょっ?よろしく♡♡」

さっきからなんなんだこの、ハートマーク


「俺、鈴と2人だと思って来たし....。

女にはあいにく興味無いから」

じゃ、といって行こうとすると


パシッ


「お願い、待って....っっ。」

さっきのクネクネ感とは違う、真剣な表情



「用件は?あるならいるけど....。」


俺がそう言って、席に着くと

パッと表情が明るくなった


「ー鈴と別れたいの、協力して?」

にこっ、と笑うのは、

また最初と同じ下心しかないような顔



「自分からふれよ 俺に頼むな」

「~じゃあ、私と浮気してよ?」



「は?意味分かん」
ギュッ


突然、抱きしめられた

机を挟んでるから、きつくはないけど。


なんか、クラクラする



パシャッ
「写真ゲット♪」


ケータイのカメラ画面をふふっ、と見せてくる女


それは、俺が抱きしめられてる写真


「それをどうするのか知らねーけど」


ガンッ

「いい加減にしねーと、まじでキレる」

コップの水をぶっかけてやろうかと思ったけど、まずは机を足で思いっきり蹴ってみた。(一応女だし)


すると、

「用件は、1つ」

真剣な目を見せた



ピッ


「私が今後生きていくためには、


あんたの協力が必要なの」

ケータイを操りながら言う


「こないだの事件、知ってると思うけど」



事件、と言われて浮かんだ


門倉学。マネージャー部に恨みがあったやつか。

今は、牢屋らしいけど....。



「私の父親、三日前病気でなくなってね


それが、病気 だと思ってたんだけど

警察の調べによるとどうやら違うみたいで。


もしかしたら、教師のフリしてたババアと門倉以外にも仲間がいて、

関わってたんじゃないかって、ね」


急のリアルな会話に息を呑んだ



「前回も、門倉に私が脅されたネタは父親の浮気写真。

今回のことも、何も関わってないーとは思えないから。」


「それとこれとが何が関係がある」


確かに、仲間がいる可能性はいくらでもあるし。

門倉がマネージャー部に恨みがあることはこの目で見たし。


でも、それで俺と浮気したいーっておかしくね?


「ー大関を、巻き込みたくないの」




予想外だった

「あいつ、大家族でしょ?」


コップの氷をカラカラ鳴らしながら呟く


確かに、鈴の家族は

母親、父親。大学生の姉、高校生の兄。小学校の弟に、妹。

鈴は家族みんな大好きで、家族の真ん中的存在。


「うちの家族は、門倉が来る前からボロボロだった

だから、そこまで悲しくないー」

ポタッ


「お、おいっ、」

突然の涙に戸惑った


「でも、大関の家族 に門倉の手が伸びたら、私、一生後悔するー....っっ。」

溢れる涙を止めないまま、話し続ける



「だから、....いま別れておきたいの

そしたら傷つかない」



嘘、には聞こえなかった。涙も。


「お願いっっ、あなたしか、いないの」



協力、する?か?


パッと



浮かんだ。



「ごめん、俺、協力 は する


でもーお前と付き合うことは出来ない。嘘でも。

それに、鈴だって男だし

お前を守りたいと思う」


高橋の顔が、

浮かんだ。


前までの俺ならきっと

いいよ。嘘なら付き合ってやる

って言ってたけどー....。





高橋、やっぱ俺、お前のこと好きだわ。



「~分かった、ありがとう。」

ガタッ


前髪で濡れた目は見えないけど

暗く悲しい顔をしてるのは分かった



「行くの?」


「ん。」

ふっと、笑った



その瞬間




バタンッ


「おいっ!?!?」

目の前で倒れた 彼女


「お客様!?大丈夫ですか!?!?」

顔は青白い


「おい、しっかりしろよ!!?」

オレがいうと


「鈴....。」


ーーどんだけ好きなんだよ、こいつ



「軽い貧血だと思います、俺、病院まで運びます」

「大丈夫??救急車ー....」


店員さんに言われたけど、断った



カランッ

店のドアを開き、彼女をおぶった



「よいしょっ、と。」


「ん....。」

少し、体が背中で動く


「ーーー付き合ってやる」

「え、」



「鈴には、言わないで実行する。

もしバレたら俺と浮気したって設定にして。」


「い、いいのー....。」

「調べがついて、お前の父親が門倉と関係あったら警察に言えよ?

もし何もなくても、あっても

事が片付いたら全て鈴に話せ



好きなんだろ?」




「うん....ありがとう。」


涙が肩に落ちたのが分かった







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