幸せにする刺客、幸せになる資格
ベッドの淵に座る亜香里から、一粒の涙が零れてきた。

「泣かないで。僕も、本当はすっごく欲しいから。今日さ、健吾から電話で話を聞いた時、ますますそう思ったんだ」

亜香里に、健吾たちの話をした。

『こういうことって、別に競争だとは思わないけど、何か先を越された気分だね』
「僕の意気地がなかっただけだ。目の前の亜香里を、ただ単純に愛せばいいのに。妊娠するかどうかなんて、コウノトリが知っているだけなのに」
『だから、プレゼント、頂戴』
「まずは、そのままの僕を愛してくれ。それがプレゼントになるかどうかは、コウノトリに相談できるわけじゃないから分からないぞ」

僕の言葉に亜香里が笑ってくれた。
良かった。
僕達は明るく過ごしたいし、明るく愛し合いたい。

この日は、本能のまま、愛の快楽を与え合った。
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