幸せにする刺客、幸せになる資格
★終わりなき幸せ~side NORI~
亜香里に"クリスマスプレゼント"が欲しいと言われてから、6度目の夏を迎えた。

その間に蜂矢の爺ちゃんが4年前に亡くなり、去年婆ちゃんも亡くなった。

紅葉と同じお寺の墓に、爺ちゃん婆ちゃんの隣町に住む1人娘が墓を建て、僕達は時々掃除をしたり、命日やお彼岸には花を手向ける。

「おーい、健吾ぉ~」

世の中は旧盆の最中のこの日。
ここのところ6月3日に墓参りに来ることのできない健吾たちがやってきた。
玲奈ちゃんと、5歳になった娘の茉莉(マリ)ちゃんと一緒に。

玲奈ちゃんは東都大学を卒業した後、龍成社に入社し、健吾が副社長に就任したこの6月を持って退職した。

『おい、墓前で大きな声を出すなよ』
「お前達が来るの、6年ぶりだろ?いいじゃん。賑やかなくらいが紅葉には丁度いいよ」

玲奈ちゃんが退職したことで、時間が取りやすくなったと言う。

『あれ、君は・・・和志(カズシ)くん?』

玲奈ちゃんが聞く。

『うん!』
『私は、レナって言います。ここにいるのは、マリ。カズシくんと同じ歳だよ』

和志は・・・結局あの時、クリスマスプレゼントにコウノトリさんが運んできてくれた子供だ。
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