幸せにする刺客、幸せになる資格
大和は中学3年生。
受験生にとって、今の家の環境は、勉強にはちょっと厳しい。

僕にしてみたら、受験生じゃなくても、年頃の男の子は1人の部屋をあげた方がいいと思うし、大和は普段は家のことをよくやってくれるから、これくらいはしてやりたい。

家に着くと、わめく声や泣き声がユニゾンになって耳に届いてきた。

『こらぁ、ヒヨ!つまみ食いはダメだって言っているでしょ?ママはこの目で今見たからね!』

亜香里のこの声が健吾たちへの挨拶代わりになった。

『おやおや、賑やかだこと』

と、健吾は笑っている。

"お邪魔します"と言う2人を連れてリビングに行くと、既にカズやマリちゃんはソファーに座っていた。

『すみません、お2人とも。ちゃんとした挨拶ができなくて、お久しぶりです』

亜香里がキッチンから挨拶する。
料理は最後の仕上げのようだ。

我が家が賑やかな理由は、愛する天使達のせいだ。

カズが生まれた後は、さらに2人の子供が生まれた。
間もなく4歳になる長女の日和(ヒヨリ)。
そして2歳半になる次女の和深(ナゴミ)

『6年で3人か。結構なペースだね』

健吾は静かだったうちの変わりようにちょっと戸惑っていた。

『健吾さん、玲奈さん、こんにちは』

大和は丁寧に挨拶をしながらも、ヒヨから目を離していない。
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