初恋の絵本
ハルが、笑う。
その顔を見ると、
ああって納得した。
私と同じ。
淋しくて、哀しくて。
だから、笑うしかないんだ。
「いいよ。ハル、何が食べたい?」
「いいの⁉︎俺、ハンバーグが食べたい!」
「いいね。私もハンバーグ食べたい!」
「おい。そこ、勝手に決めんな」
「彰吾。私、ハンバーグ食べたい!彰吾の家のやつ」
「は?」
「あのね。ハル。彰吾の家のハンバーグ、とっても美味しいの!」
「そうなんだ。食べてみたい!」
「おいおいおい」
「彰吾!ハンバーグ作って!」
「え?彰吾って料理できるの?」
「できるよー!隠してるだけで、包丁とか切るのとかすごく上手なの!だだだだだーって。超高速なの!」
「ちょっと待て。なんで知ってる?」
「こっそり見てるし。彰吾のことならなんでもわかる!あとね、ピヨ子に話しかけてたりとか。声変えて、彰吾頑張るピヨよ〜……」
「だあああ!分かった。黙れ‼︎」
「ハンバーグ、作ってくれるの?」
「……仕方ねえな」
「「やったー!」」
「おいそこのお前。食費出せよ」
「分かったピヨ!」
「殴るぞ」
彰吾が本気でハルを殴ろうとするのを
間に入って止めながら。
久々に心から笑えた気がした。