初恋の絵本
「それ食べたら帰れよ」
イライラしてるのか、
彰吾がタバコを取り出した。
「タバコやめて!」
「うるせえな」
「なんで、また吸ってんの?」
「俺の勝手だろ」
彰吾が手に持っているタバコを
素早くハルが奪い取った。
「タバコは二十歳になってかは」
「二十歳になったらやめてやるよ」
「バカだなあ。彰くんは。大人になって就職活動した時、絶対後悔するよ。いつまでも分煙してくれないからね」
「なんで、そんなこと知ってんだよ」
「俺の夢は安定の会社員だから」
「知るか。つか俺、会社員になんかなんねえし」
「それ。絶対変わるから」
「はあ?」
「彰くんは俺と同じだよね」
「なに言ってんだ」
「高校のうちからなんでも調べた方がいいよ。進路大事だから」
「なんだお前。ウチの高校から大企業目指すつもりかよ。やめとけ」
「………」
「晴川クンの夢はプロサッカー選手だろ?いつから進路変えたんだよ」
「もう。いい加減にしてよ二人とも。ハンバーグ冷めるよ!」
「………」
「いただきます」
ムッとする彰吾を、置いて
割り箸でハンバーグを食べるハル。
「美味しい!玉ねぎがサクサクしてていいね!」
「でしょ?お肉たくさんだし!」
そんなことを話してたら。
彰吾のお母さんとの
最後にした会話を思い出した。