初恋の絵本
『心実ちゃん。おばさん、出て行くことになったの』
『え……。もう会えないんですか?』
『会えるわよ。お店に来ればね。でも、心実ちゃんが来るようなお店じゃないから。う〜ん』
『淋しいよ……』
『おばさんも淋しい。心実ちゃんが彰吾のお嫁さんになってくれたらいいのに。おばさん、心実ちゃんみたいな可愛い娘が欲しかったの。私ね、心実ちゃんのこと大好きよ』
『私も、おばさん大好きだよ!いつも美味しい夕飯作ってくれてありがとう』
『…………ハンバーグ。作り方教えるって言ったのに。ごめんね。彰吾は料理上手いから、彰吾に聞いてね……彰吾とずっと仲良しでいてね』
『うん』
『じゃあね』
結局。
ハンバーグの作り方は
知らないままだけど。
彰吾がいるから、いいやって
思ってた。
「彰吾。ハンバーグ美味しいよ」
「うん。お店のより美味しい!彰くんすげー!」
「なつくな。そして食ったら帰れ」
「プリン食べたら帰ります」
「家で食え‼︎」
三人で食べた夕飯は、
やっぱりとても美味しくて。
どんな高級料理にも敵わないと思う。
最後、
彰吾も根負けしたのか、
ハルとゲームをやりだした。
この二人、実は気が合うんじゃないかって。
笑ってしまった。