初恋の絵本



「ガキかよ。心実に責任押し付けんな。脳味噌あるなら自分で考えろカス」

「うるせえ!黙れ青山!目障りなんだよ。今更心実のことが惜しくなったのか?お前さぁ。すげー女癖悪いんだって?有名だよなぁ」

「だならなんだよ。向こうが勝手に寄ってくるから相手してやってるだけだ。つか今その話関係あるか?話逸れてんじゃねえか。ほんとバカだな。サッカーでつぶし効かなくなったらこまるだろあ?勉強もちゃんとしとけよバーカ」

「〜〜〜〜っ!」




彰吾の矢継ぎ早に責め立てられ、
何も言えなくなるハル。




「やめなよ彰吾!言い過ぎだよ!」

「心実。マジでこんなヤツ好きなのか?顔とサッカーしか取り柄ねえぞ。趣味悪すぎ。お前の最愛のキラリの方がマシだよ」

「彰吾!」

「青山……ぶっ殺す」

「それ口だけか?サッカー部員が喧嘩とか、どうなるか分かってんのか?あ?」

「……サッカー部なんて関係ねえよ」

「お前って、ほんと自己中だぞ?個人競技に部活変えたら?向いてねえよ。サッカー」

「……それ以上喋るな」




余裕の表情の彰吾に、
我慢の限界を超えたハルの拳が構えた。



もしかして、本当に殴るツモリ?




「やめて…!それだけはダメだよ!」



ハルに抱きつき、必死に止める。





「………離せよ。どうせ殴れないと思ってるんだろ?お望み通り殴ってやるよ」

「ダメだよ……冷静になって……!」

「誰のせいだよ!」




ハルの怒鳴り声にビクッとする。





怖い。

こんなの、私の好きなハルじゃない。

私、本当にハルが、好きなの?

わかんなくなってくる。





「分かったから!彰吾とかもう関わらないから‼︎」

「心実?」

「ごめん。彰吾…」



大きく目を見開いた彰吾に、
謝ることしかできない。



「てめ!やめろ心実!余計なこと言ってんじゃねえよ‼︎」

「だって……」


どうすればいいか…分からないんだもん。



「絶対だな。約束だそ」

「………」





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