初恋の絵本
「俺抜きで勝手に決めんな!そんな約束無効だ!」
「バーカ!フられたくせに見苦しいんだよ青山!」
「この……」
「やめて……彰吾……」
「お前の好きだったのは、本当にこのハルか?」
「え?」
「……来い!」
「痛っ!」
「青山!心実を離せ!」
「あー!うるせえな!無事に高校生活送りたかったらすっこんでろボケが‼︎」
彰吾の剣幕にハルが息を飲んだ。
「約束くらい守ってやるから、1日だけ心実を貸せ。したら、二度とコイツとは会わないでいてやるよ」
私の肩を掴み、
ハルの隣を擦り抜ける。
「どこに行くの?授業は?」
「いいから黙ってついてこい。ハルのことが知りたいんだろ?」
「彰吾……なにか知ってるの?」
「………」
無言の彰吾に手を引かれ、
学校と逆の方向に進んでいく。
誰もいない通学路を通り抜け、
駅にたどり着いた。
「え?電車に、乗るの?」
彰吾は私に切符をくれた。
そしてホームに入ると、
ちょうど電車が来るところだった。
「お前の言ってたハルに会わせてやる」
「私の言ってたハル………?」