初恋の絵本
優しい人
北山町で下車して、北校に向かう。
晴太の通ってる学校だ。
途中、数人の北校の生徒に会った。
ちょうど、帰宅時間らしい。
なら晴太も帰ってるかもしれない。
少し急いで歩いて、
ようやく校門が見えた頃。
「あ。ねえ。昨日の子じゃない?」
見知らぬ男子に声をかけられた。
「やっぱそうだ。西校の制服目立つもんね」
「……あ」
由緒正しいセーラー服の中で
ブレザー&着崩しの私は
ものすごく浮いていた。
「ねえねえ!昨日のイケメンいないの?イケメン!」
「イケメン?」
「そう!背の高い、目つきの悪いイケメン!昨日の君といたよね⁉︎」
「あ。もしかして、彰吾ですか?」
「彰吾っていう彼!彰吾!なに彰吾?」
「み、苗字ですか?青山です」
「青山彰吾くんっ‼︎ねえ。今から呼出せない?」
「彰吾をですか?……あー。すみません。あんまり連絡とってないんで……ちょっと無理っぽいです」
「使えない……」
「え?」
「うんん。なんでもない!ごめんね!」
「京介さんっ!」
男子のテンションに唖然としていると、
後ろから晴太が走って来た。