初恋の絵本





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しばらくして、
黒いバイクが校門近くに停車した。

ヘルメットを脱ぎ捨てた彰吾が、
私達を見つけて走って来た。





「おい、心実。晴太は大丈夫なのか⁉︎」

「え……」



返事に困る。

だってこれ、京介さんのついた
真っ赤な嘘だもん。





「死にそうって聞いたんだが……あ?」

「あはは……」

「なんだお前、元気そうじゃねえか」




呆れ顔の中に、
安堵するような彰吾の顔。

こういうところが、
彰吾って優しいなあと思う。






「だよな。死にそうだったら救急車くらい呼ぶわな。おい。俺だって暇じゃねえんだ。なんかあったのか?」

「あー。うん。あのね。友達が、彰くんを紹介して欲しいって………」

「友達ぃ?」



少しこまったような疑うような
眉間にシワを寄せる彰吾。







「はじめまして!阿久津京介です!」

「⁉︎」

「蠍座のA型です!是非友達になってください!よろしくお願いします!!」

「………おう。……なんだ?新手のカチコミか……?」




京介さん…テンション高いです…。

ほら、見てください。

彰吾、警戒しています…。






「彰くんは⁉︎星座と血液型は⁉︎あ、占いとか信じる感じ⁉︎運命は信じてる⁉︎俺はガチで信じる系!!」

「………………」

「運命ってあるよね⁉︎俺は彰くんみた時、運命感じたんだよ!!」




いろんな人に喧嘩を売られ続けた彰吾だけど、
こんなに動揺している彰吾は
見たことない。








「……ねえ。晴太、京介さんって…」

「いい人だよ」

「そ、そっか……」




ちょっと意外な京介さんについて、
聞きたかったけど。

ニコニコ微笑む晴太を見ていると、
何も言えない。





「あ。ねえ。今更だけど、黒髪にしたんだ」





京介さんの登場で、
見落としていた。

明るかった晴太の髪の毛は
黒に染められていた。




「うん」






メガネに黒髪の晴太は。

顔立ちは似ているけど、
もうハルとは別人だった。





「そうだった。昨日の話の続き。知りたいよね……」


VIVA本題。

私のここに来た理由…。


「うん…知りたい……」


知るのが怖いけど。

分からなくてモヤモヤするのも嫌だ。


「なら、俺の家行こうか」

「え?」

「彰くん、忙しそうだし」

「ああー……」






彰吾と京介さんに視線を戻すと……。







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