初恋の絵本
「理沙子!」
突然、玄関のドアが開かれた。
「お前、こんなところでなにをやってるんだ?………晴太⁉︎ひどい怪我じゃないか!お前の仕業か、理沙子⁉︎」
扉から入ってきた人物は、
背の高い男性で。
どことなく、ハルや晴太に似ている。
多分ハルのお父さん。
晴太と私のお父さんだ。
「家に帰れ、理沙子」
「……ぁ……」
「晴太を病院に連れて行ったら、すぐに俺も戻る。……大事な話があるんだ」
さっきまでの状態が嘘のように。
ハルのお母さんは大人しく、
部屋を出て行った。
「晴太……病院に行くぞ、立てるか?」
「はい…」
お父さんに支えられ何とかたった
晴太。
するとお父さんも私の存在に気付き。
「……下に車を待たせてある。君も……心実か?」
「はい」
「心実も、送ってくから用意をしなさい」
お父さん、私だって分かったんだ。
それもそっか、私の家賃払ってくれてるし。
「あ…私はいいです。一人で帰れますから」
「そうか」
お父さんは晴太を連れて
扉を閉めた。
殴られた傷が、ズキンと痛んだ。
鏡で見てみると
唇が切れて、真っ赤に腫れている頬。
明日、休みでよかった。
こんな顔じゃ、学校に行けないよ。