初恋の絵本
「……心実!」
名前を呼ばれて、振り返ると。
制服姿の彰吾がいた。
「あれ?彰吾。どうしたの?」
「……………」
厳しい顔をした彰吾が、
だんだん私に近づいて来た。
「彰吾……。やだ。怖い顔……」
「……………」
「……彰吾?」
無言のまま、彰吾は私の肩を掴んだ。
「晴太がいなくなった」
「え………?」
「土曜の夜から、連絡がつかない」
「………」
土曜の夜?
でも。
確か、私とメールしてた………。
1人になりたかったとかじゃないの?
「あいつの住んでるアパートにも行った。さっき北高にも行って友達の阿久津にも連絡した。けど、晴太はどこにもいなかった」
「ねえ。なんでそこまでして、晴太を探すの?」
彰吾の言動が理解不能過ぎる。
「………したんだ」
呟いた彰吾の声は
小さ過ぎて聞き取れない。
「ハルの母親が、自殺した」