初恋の絵本
「ねえ。晴太はいくつになった?」
「なんだよ。俺ら同じ誕生日だぞ?」
「あは。そっか」
「そうだよ!15歳だよ、俺ら」
「冬生まれだもんねえ」
「うん。仕方ないよな」
「彰吾もね、冬生まれなんだよ?」
「15歳か……見えない」
「だよね。ここ1年ですごく大人になった気がする。お父さんの仕事手伝い始めてからかな?」
「それね。彰くんやめたって」
「え?」
「お父さんの仕事、手伝うの。普通に勉強するって」
「そうなの?どうして?」
「必要なくなったみたい」
なんでたろ?
彰吾。あんなに頑張ってたのに。
「もう、国は諦めたって、何のことだろう」
「………国?……、王国……だ……」
「なんなんだろうね。彰くん武将にでも憧れてたのかな?」
「それは違うと思う」
少し笑った晴太につられ
私も笑う。
あんなに辛いことがあっても
今は忘れられてるような気がする。