初恋の絵本
凍った心の実




時は過ぎ、私は高2になった。



来年は3年生。

進学しようか。

就職しようか。

先生はしきりに決めろと言うけど。

まだ私は進路を決められない。

自分の人生なのに。

他人事みたいだ。









「ただいまー」








帰っても誰もいない。




前は孤独が嫌いだった。

今では孤独と共存できている。

一人が淋しくて泣いていた私はいない。





なんであんなに哀しかったんだろう。

寂しかったんだろう。






よく、辛いことは耐えて慣れろって言うけど。

それは人によると思う。

私の心は、耐えきれず壊れてしまった。




けど。


その方が傷つかなくていいから
楽なんだよね。





あれ?


私、最後に泣いたのっていつかな?




泣くと疲れるから。

泣かなくなった。







そう言えば今日も言われたな。




『心実ちゃんってお人形さんみたい』

って。







これ。褒め言葉じゃないよね。

感情を表に出さないからだと思う。



一年のあの頃は。

泣いたり笑ったり喜んだり。

毎日が目まぐるしくかわっていた。





それが一時期、感情が死んでしまった。


でも最近、少し回復したような気もしてた。





それでも、前ほどじゃない。








< 151 / 174 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop