初恋の絵本




「もおお〜。遅刻した罰にケーキ奢りなさい!」

「断る」

「なによ〜。そんなカッコよく言われたら許さざるおえないじゃない〜‼︎きーっ。悔しい〜!」






彰吾に抱きつく阿久津くん。

多分あれは彼なりのスキンシップ。

ああでもしないと、
警戒心の強い彰吾に触れることは出来ない。












私も。

昔はああやって彰吾に抱きついたものだ。



























「やだ!彰吾に触らないで!キモい!」













カン高くて通る声に顔を上げる。




そこには、
昨日会ったばかりの高橋芽衣がいた。















「高橋芽衣ー⁉︎なんであんたがここにいるのよおぉおお!」

「彰吾が出かけようとしてたから。ついて来ちゃった♪
将来の彼女としては、彼氏の交友関係は把握しておかなきゃとおもって」

「誰が彼氏だ」



迷惑そうに、彰吾は芽衣の腕を振り払う。



















「あ。心実さん。こんにちは」

「……こんにちは」

「ね。彰吾ったらひどいでしょ⁉︎
こんなに好きって言ってるのに、私のこと相手にしてくれないんですよ」

「アホか。ガキなんて彼女にできるか!」

「だから!彰吾の好みの女になる努力してるでしょ!」

「中学生の時点でアウトだ。法的に」

「恋愛の前に障害はないわ!」

「あるんだよ!」

「そうよ彰くん!障害はないわ!」

「性別的に障害だらけじゃねえか!」





芽衣と阿久津くん。

二人に挟まれながら、
彰吾は盛大なため息をついた。







< 159 / 174 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop