初恋の絵本
彰吾、来てくれたんだ。
「それで心実。話ってなんだ?」
「……っ」
どうやって言うかどうか
考えてたけど。
いいのが浮かばず悩んでいた。
彰吾がここまで聞いてきてるんだから。
直球で。想定外で。恥ずかしいけど。
言うなら。今だ。
「……彰吾が芽衣と付き合ってるのは知ってるけど……」
「………は?」
「私は彰吾が好きです。付き合って下さい」
私が選んだのは一番シンプルな言葉。
『付き合って下さい』は余計かもしれないけど。
なにも飾らずなのが。
一番『素直』な気がした。
「……………」
「……………」
夜が訪ねてくるのを知らせるような
ひんやりとした風が吹く。
「……あの、フルなら…早く……お願いします……」
無言の彰吾に話しかける。
「……信じらんねー……」
そう言って私に近づく彰吾。
そして、ふわっとした温もりに包まれた。
わ、わ、わ、私。
彰吾に抱きしめられてる?
「……彰吾?」
「俺も……心実が好きだ……!」
ぎゅーと強く抱き締められる。
「ほ、ほんと?」
「ほんと」
………てことは。
両想い。