初恋の絵本
「そっか、そんなことがあったんだな」
「うん」
「そっか。大変だったな」
「うん」
泣いている私の頭を
優しく撫でてくれる。
それだけでも、
安心して。
なんか涙が更にでてくる。
「そのササハラセイタとか言うヤツ、何者か俺が調べておく」
「え?」
「はっきりしないと不安になんだろ?」
「…うん」
知りたいような。
知りたくないような。
でも、知りたい。
怖いけど。
見てしまったものは仕方ない。
「彰吾、その人のこと、調べて。約束」
「おう」
このササハラセイタが、
これからのことに大きく関わるのを
私たちはまだ知らなかった。