初恋の絵本
直ぐに視線は外されたけど、
衝撃的すぎて思わずその場に
しゃがみ込んでしまった。
「あれ?もしかして、今のこっちに向けてやってなかった?」
「分かんない……でも、こないだハルに試合見に来てって言われた」
「ああ」
妃ちゃんがニヤニヤと笑う。
「そっか。なるほど。逆だったんだ」
「なにが?」
「ううん。心実が試合見てたらね。ハルもそうなっちゃうかもね」
「?」
「あはは。ハルもお目が高い!」
「なんのこと?」
「秘密。また試合見に来ようね」
「うん……?」
座り込む私を、
妃ちゃんがひっぱり起こしてくれた。
「これで心実も、彼氏持ちの仲間入りだね」
「なんのこと?」
「さあ。でも時間の問題だと思うな」
妃ちゃんのグループで、
彼氏がいないのは私と茉桜ちゃん。
けど、茉桜ちゃんには好きな人がいる。
妃ちゃんの言うことが確かなら、
私もみんなの仲間入りができる?
それなら、嬉しいけど。