初恋の絵本



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翌日の昼休み。

半信半疑で廊下に来たら、
ハルが待っていた。

手には、相変わらずアンパンが。



「よ!」

「こんにちは」

当たり前みたいに廊下の端っこに
腰を下ろして、
アンパンを半分こにしてくれた。

「じゃあ、はい」

多分そうだろうなって思ったから、
買ってきたお茶の缶を渡した。

「お。サンキュー」

「アンパンには緑茶だよね」

「牛乳も美味いよ」

「ドラマに出てくる張り込みの刑事みたいだね」

「たしかに。なら、明日は牛乳とアンパンにするか」

明日もここでアンパンを
食べる予定なのか。

ハルの言葉に流されながらも、
うん。と返事をしてしまう。



最初は緊張したけど、
慣れてしまえば
ハルと一緒に過ごす時間は楽しかった。

レモネードみたな感じ。

爽やかなんだけど、少し甘くて。

それに炭酸を入れれば、
ハルの雰囲気にとてもよく似ている。



「それじゃ。また明日」



また明日というのは、
ここでってことかな。

それとも、試合を見に来いってことかな。



たぶん。きっと、どっちもだろう。

そう納得して、
私も教室へ戻る。



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