初恋の絵本
なんで。
どうして?
自分の彼女を泣かすの?
女の人を泣かすの、よくないよ。
年なんて関係ない。
女の子は、男の子より
弱くできているんだよ。
「やめなよ」
彰吾と女の人の間に立つ。
「なんだよ。どけよ」
「どかない」
「お前には関係ない」
「だって。泣いてる」
「だからどうした」
「泣かせるの、よくないよ」
私まで、泣きそうになる、
男の子は女の子を
守ったあげなきゃいけないのに。
「泣いたらなんでも思い通りになると思ってんのかよ」
「違う。泣くまで追い詰めたのは彰吾でしょ?」
「は?勝手に泣き出したんだろうが」
「でも……きゃ!」
「なにいい子ぶってんだよ‼︎」
泣いていると思った女の人に、
思いっきり右手を掴まれた。
「お前が私から彰吾を盗ったんだろ‼︎この泥棒‼︎」
「え⁉︎」
「やめろ!」
殴りかかろうとした女の人を、
彰吾が止めてくれた。
「心実!いいから、もう帰れ!」
「離せ‼︎この女が全部悪いんだあ!
返せ!返せよお‼︎私の彰吾を返せえ‼︎」
顔を真っ赤にさせた女の人が、
私に向かって絶叫する。
「私、盗ってないよ?」
なにもしてないよ。
あなたが泣くようなことは。
なにも。
なのに、女の人は泣き止まない。
私の言うことに耳を貸さない。
「嘘だぁああ!ならどうしてアンタはここにいるのよぉお!この部屋は彰吾の特別じゃないと入れないんでしょ?」
「あの、私と彰吾は……」
〝友達〟…。