初恋の絵本



「ハルー!タオルタオルっ‼︎」

「お。サンキュ」

「えへへ。相変わらずカッコよかったあ!」

ハルを追ってきた女の子が、
はいっとタオルを渡した。



「なに?ハルの妹?」

「いくつ?その制服って西中の?中学生?若〜い!」

「中学生からしたらウチらオバサンだよね」



中学生が珍しかったんだろう。

妃ちゃん達が、
女の子を注目した。


「……誰?ハルの友達?」


睨むかのように目を細め、
私達ではなくハルに尋ねる女の子。


「ハルの友達と、その彼女でーす!」

「お、お前ら!」

「なによ。ホントのことじゃない。茉桜達の心実を奪ったくせに」

「いや、本当だけど。なんか恥ずかしい……」

「やだ!ハル顔赤ーい!可愛ーい!」

「……え?」

みんなが笑う中、
私と女の子だけは無表情だった。



「なんで?ハル、彼女できたの?」



女の子の呟き声は、
笑い声に掻き消された。



「琥珀のこと。待っててくれるんじゃなかったの?」



ああ。この子が琥珀ちゃんか。

自分より年下の子に
嫉妬してたのが恥ずかしい。

琥珀ちゃんは普通の女子中学生だった。



「誰がハルの彼女?」



こうゆうのって
答えるべき?

でも、この子……。

ちょっと怖いかも…。


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