初恋の絵本
「琥珀。いいから行くぞ」
「へえ。琥珀ちゃんって言うんだ」
「ハルの彼女?」
「琥珀ちゃんもハルの彼女になりたいの?ちょっとー。ライバル出現⁉︎」
「いやいや、強敵?…なわけないけどー。あははは!」
「笑わないで!琥珀の質問に答えてよっ‼︎」
笑い声に打ち勝とうとするような
叫びに近い大声。
さすがに琥珀ちゃんがかわいそうに
なってきた。
「ちょっとやめなよ。琥珀ちゃん、だっけ?あっち行こう。ほら、自販機あるし。私、ジュース奢るよ」
「おっ、流石ハルの彼女」
「余裕〜」
琥珀ちゃんをこの場から立ち去ろうと
私なりに考えたんだけど。
妃ちゃん達の言葉に気づいたのか。
「彼女?」
琥珀ちゃんの目が私を
鋭く見据えてくる。