初恋の絵本
「あんたが、ハルの彼女?」
「え……」
「そうそう。心実がハルの彼女でしたー!」
「ハルが一目惚れしたんだよね、心実に」
「可愛いもんねー!私も心実見たとき、絶対友達になりたいって思ったもん」
「私も!やっぱり可愛い子は何しても可愛いっていうか」
「心実なら何でも許しちゃうよね〜」
私がハルの彼女だと分かった途端、
琥珀ちゃんは握っていた手を
バッと振り放した。
「なんて?どうして?……ハルは琥珀と付き合ってくれるって言ったのに……!」
小さな女の子って思ってたのに。
琥珀ちゃんに振り払われた
腕が痛い。
「え?もしかして、この子本気だったの?」
「お兄ちゃん盗られるのいや〜って感じじゃなくて?」
「違う!ハルと琥珀はカレカノになる約束したの‼︎琥珀がホントのハルの彼女!こいつは偽物っ‼︎」
自分の思い通りにならなくて、
子供がヒステリックに叫ぶみたい。
琥珀ちゃんが甲高い声を上げる。
「妹ちゃんはこう言ってるけど、どうなのよハル〜?」
「早速二股ですかあ?」
「んなことするかよ!俺は心実一筋だ!」
「ハル⁉︎」
このハルの一言で
今まで強気だった琥珀ちゃんの
表情が泣きそうになった。