初恋の絵本
「…………彰吾?」
「青山‼︎」
いきなりの出来事に
頭がついていけない。
あんなに会いたかった彰吾だけど
私のよく知る彰吾じゃ
ない気がした。
「心実。行くぞ」
「行くって。どこに?」
「晴川がいない場所」
「はあ?なに言ってんだ青山!」
ハルの制止を聞かず、
彰吾に無理矢理歩かされて
転びそうになる。
「なに?どうしたの?」
「…………」
「黙ってないで答えてよ。私、毎日彰吾の家に行ってたのに、どうして出てくれなかったの?」
「ああ。お前来てたのか」
「そうだよ!」
「すまん。しばらく家を空けてた」
まだハルの所にいたくて、
必死に抵抗したけど。
本気の彰吾の力には到底敵わない。
「ちょっと。離して!」
「別れてきた」
「え?」
「付き合ってきた女全員。別れてきたから」
彰吾が誰と付き合ってかなんて
知らない。
けど。でも彰吾の真剣な眼差しは
真実で私を見ていた。
「だからまた。俺と一緒にいよう」