初恋の絵本


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「ただいまー」

「俺の家だ」

「じゃ、おかえりー」

「そういう意味じゃねえ」

「えー。なんて言えばいいの」

「お邪魔しますとか言えよ」

「おじゃましまーす」

「ソファにくつろぎながら言っても遅いんだよ」




真っ赤なソファに寝そべりながら、
テレビをつけた。



ビルの屋上にある彰吾の部屋はプレハブ。

お父さんの事務所のビルのてっぺんに、
彼の部屋だけ独立していた。

台所もお風呂もちゃんとある。


家族が下にいるのに、
彰吾はまるで一人暮らしだ。




「あー。このアニメの歌聴くと、日曜日が終わるんだなって思うよね」




ピーヒャラ歌っていたら、
彰吾に後ろから小突かれた。

「おいパッパラパー。夕飯の材料どうするんだ」

「彰吾作って」

「俺は料理ができない」

「だからできるように教えてるじゃない」

「教える気があるならテレビ見んな」

「大丈夫。口で言うから」

「お前……」



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