初恋の絵本
教室に戻りため息をつく。
「心実。元気ないね」
「茉桜ちゃん」
食べる?と、大好きなチョコをもらう。
「なに?青山くんのこと?」
「それもあるけど、他にもいろいろ」
「他って?」
「恋愛って難しいね」
「えええええ。心実から恋愛って言葉出てくるなんて不自然!中学から一緒だけど初めて!」
「茉桜ちゃん、それ暴言…。でもさ、分かんないんだもん」
「ハルかあ。ああ見えて、結構子どもだよね」
ふっと。
茉桜ちゃんが窓辺に視線を向ける。
「ほら。またいる」
「?」
見てみると、
校門のところに
どこがで見たことある女の子がいた。
「琥珀だよ」
「琥珀ちゃん?」
「そう。あれ以来、試合ある度に来るんだよね。あの中学生」
「そうだったんだ…」
「あそこにいるってことは、今日も見に来たんだね。琥珀いるなら、見にいくのやめよっかな」
「私、今日試合見に来くって、ハルと約束しちゃった……」
「うっそ、マジで⁉︎」
「うん」
「ハルも天然だよね……少しは彼女の気持ちも考えろってね」
「……考えてる、と思う」
「え?」
でなきゃ、海になんて
連れて行ってくれないと思う。
「心実。本当に試合見にいくの?」
「うん」
「なら。私も行く」
「いいの?」
「いいよ。琥珀って子、ヤバイし。あの歳であの態度。ビッチ臭がハンパない」
「ふうん?」
「とりあえず、試合行こ!私の言ってること分かるはずだから」