初恋の絵本
「心実さん」
ボーっと、空を見ていると、
いつの間にか琥珀ちゃんが
目の前に立っていた。
「あ。琥珀ちゃん。久しぶり」
「お久しぶりですう」
こないだとは全然違う。
満面の笑みの琥珀ちゃん。
その長い髪に。
見覚えのあるシュシュが
結んであった。
「あれ?」
ペパーミントに、
チョコ色のドット柄の。
私のお気に入りの
シュシュに、よく似ていた。
「どうかしました?」
「え。ううん。なんでもないよ」
たまたまだよね。
どこにでも売ってるものの
はずだから。
「心実さん。いい匂いがする〜」
「わ!」
突然琥珀ちゃんに抱きつかれ
驚いてしまう。
「これ香水ですか?なんの香水ですか?それともジャンプー?ねえねえ!」
「え?え?」
「教えて下さいよ〜。琥珀も同じの欲しい!それか、今使ってるのちょーだい!」
「えっと、…あの……私が使ってるのは、香水っていうか……シロップみたいなトロトロのやつで………なんて言えばいいのかな」
「説明できないなら、下さいよ。今持ってないんですかあ?」
「え……」
私の制服のポッケに、
琥珀ちゃんの手が入ってきた。
「あ!このハンカチ可愛い!も〜らった!」
「は。え?」
「可愛い〜。心実さんありがとうございますぅ〜〜☆」
「ちょ、ちょっと。琥珀ちゃん」