初恋の絵本
制服のネクタイを結んで
学校へ登校する。
「心実」
教室に入ろうとしたら、
ハルに呼び持てられた。
「ハル?朝練じゃないの?こんな時間に珍しいね」
「サボった」
「また?翔くんに叱られるよ」
「練習なんかしなくても強ければいいんだよ」
イライラしてるのか、
口調が少し荒かった。
「なあ。昨日の態度、なんなワケ?」
「ああ。昨日」
「俺が青山を嫌いなこと知ってるだろ!」
ハルが怒鳴るから、
体がビクッと跳ねた。
「……琥珀のことは、悪かったって思ってる。けどな。俺が待てっていってるのに、どうして青山についていくんだよ!」
「それは……友達だから……」
「じゃあ俺はなんだよ⁉︎友達以下か?」
「そんなこと言ってないよ」
ハルの態度も気に入らない。
「ハル……どうして信じてくれないの?何度も言うけど、彰吾は友達だよ」
「青山はそう思ってない」
「そんなことない。大切な友達だって言ってくれた」
「好きなヤツを簡単に忘れるなんてできるワケねえだろ!」
「ハル……」
「心配なんだよ……」
時計を見るともうすぐ
先生が、教室に入ってくる。
それに、周りの目が……。
私たちを好奇の目で見ている。
「……そろそろ先生くるし、私行くね」
「心実!」
ハルが嫌い。
怖いよ。
「放課後、練習見に来いよ」
そうハルは言ったけど。
聞こえなかったフリをして、
私は扉をしめた。