イセモノガタリ
芥川
“男”目線
「はぁ…っ、はあ」
男は走っていた。
疲れのせいで足がもつれる。
心臓も壊れそうな程に痛かった。
しかし――今自分が止まるわけにはいかないのだ。
背中には愛しの姫がおぶさっている。
息を詰めて俺の肩に懸命にしがみついている彼女。
彼女は天皇の妻に成るべきお人。
それでも、恋をしてしまった。
初めに垣間見たときから、消えることのない熱情。
何度思い知らされても、諦められなかった。
故の、いわば駆け落ち。
身分違いのこの恋、成就するかは今の自分に懸かっているのだった。
男は走っていた。
疲れのせいで足がもつれる。
心臓も壊れそうな程に痛かった。
しかし――今自分が止まるわけにはいかないのだ。
背中には愛しの姫がおぶさっている。
息を詰めて俺の肩に懸命にしがみついている彼女。
彼女は天皇の妻に成るべきお人。
それでも、恋をしてしまった。
初めに垣間見たときから、消えることのない熱情。
何度思い知らされても、諦められなかった。
故の、いわば駆け落ち。
身分違いのこの恋、成就するかは今の自分に懸かっているのだった。
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