イセモノガタリ
震える言葉を、青年は一笑に付した。

「お前ごときが、この我に命令するか。

何も無駄死にすることはない

…教えておいてやろう、俺は鬼だ」

鬼と人間では、勝敗は明らかに決まっている。

だが、男は低く唸った。

「…姫、姫は、俺と共に生きると言ってくれた…!

俺の物だ!」

ぎり、と歯を食いしばって弓に矢をつがえる男。

腕を真っ直ぐに構え、鬼へと狙いを定めた。

そんな行動を目の前にしても、まだ鬼は動じない。

「見苦しい…『俺のもの』だ?

全く、愚かで傲慢な人の子よ」
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