イセモノガタリ
男を一瞥し、鼻で笑う鬼。

「表情が凍っているぞ?

…蛇に睨まれた蛙、

という言葉を知っているか?」

幽玄に微笑む鬼。

その笑みは、慈愛の柔らかさにも見えた。

美麗な表情に惑わされ、男の心に一瞬の希望が覗く。

しかし、それは鬼が次に見せた笑顔に打ち砕かれた。

先程のものとは180°違う雰囲気。

にいと吊り上げた口角から、鋭い犬歯が煌めく。

絶対零度級の微笑みを湛えたまま、鬼が溢す。

「さて…実際問題、だ。

蛇に睨まれた蛙は…どうなってしまうんだったかな?」
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