ネエ、チョーダイ
*
今は、塾の教室前。
ドキドキ・・・ドキ
きっと教室に入れば、みんなの視線攻撃が来るんだ・・・。
はあ・・・
勇気出せ!私。
ガラッ
「お、遅れてすいません!!」
予想通り、いや、予想以上に私を見つめる視線はヤバかった。
「なんで遅れたんだ?」
唐突の…いや、当たり前に聞かれた質問に私は、塾に来なければよかった、と後悔した。
母に反発していれば…
そう思った私だった。
「そ、その....道が混雑してて。」
「道が混雑?」
先生は疑っているかのように目を細めていた。
「はい....。」
「そうか、まぁいい。座りなさい。」
先生が指さした席に座る。
ようやく、ドキドキが止まった頃には先生から渡されたプリントをしていた時だった。
プリントには意味不明のXに、y。
私、まだ習ってないような気がするんだよなーあ。
ここは、ひとまず。
「あの…せんせ」
ピロリ♪ピロリ♪───・・・
私の声を消して鳴った機械音。
「あの、先生」と言おうと思ってたのに呼びかけかき消されたよ。
てか、すんごい大音量!
「ん?誰なんだ。携帯はマナーモードに!各自、携帯を確認しなさい。」
私は携帯持ってないし…。
と思い、無関係ですよ、みたいな感じでなんとなく左の席の男の子を視界に入れる。
ゴソゴソとカバンをあさっている
男子も携帯持ってるんだなー。
と思いつつ、教室をくるりと見回すと全員がカバンをあさっていた。
みんな持ってるんだなー。
って....私、携帯持ってないとか時代遅れすぎ!!?
「誰だー?さっきの着信音が鳴ったやつは。正直に言いなさい。」
「........」
「…僕、です。」
な、な、んと、私のとなりの席の人だった。
「勇太か。次からは気をつけるように。で、宛名は?保護者からのお迎えの連絡だったりしないのか」
「確認します....。」
「ああ。」
「....?。宛名がないです。」
「どういうことだ?」
「なんか....宛名が空白で、」
「宛名が空白?って....ちょっと見せてもらっていいか?あー、他の者はプリントするように。」
といい、男子から携帯をのぞき込む先生。
別に興味もないのでプリントをし始めた。
「ねえ…ちょうだい。だと?」
はっ、とそのワードにプリントに目をしてた私が顔をあげた。
「これは嫌がらせに違いない。または、最近の詐欺の手口かもしれない、どちらにしても不安全だから保護者に連絡し、消しなさい。」
「はい…。」
ねえ、ちょうだい のワードに宛名がない、となると....あのホラー事件!!?
いや、でも…美紀が言ってたくらいの噂だし、ただのイタズラだよね。
うん。
きっと、そうだよ....。
このことを頭の隅に片した。