意地悪くんと×××
信じる
[龍吾 ver.]


「おい!龍!」

「なんだよ、舞。」

いきなり俺のところに走ってきて舞は叫んだ。
かなり怒ってるな。

俺なんもしてねぇんだけど…?

「咲が、いない。」

は?
意味わかんねー。

「…冗談ばっか言ってんじゃねぇよ」

「これが冗談に聞こえるのかあほ!鞄もないんだよ!!」

俺はそれだけ聞くと鞄を持って走り出した。
どこに向かえばいいのかなんてわかんねぇ
でも、咲がいる場所なんて俺の家かあの公園くらいだろう。

なんでいなくなるんだよ…

うぜぇ。
俺は今日科学室まで呼び出されて告られた
相手の名前なんか知らねーけど、抱きしめてって言われて俺が抱きしめるわけがない。

触れるのは咲だけだ。
咲の白くて綺麗な肌と細い手足、大きな目に少し涙を溜めて「龍吾…」なんて言われてみてぇよ…っ

たまんね。

なんて考えているとキツイ香水の匂い。
最悪。

俺は抱きしめられていた

「離れろ、触んじゃねぇよ。」

「咲ちゃんってさ、可哀想だね」

は?
こいつ何言ってんだ。
くそ…。

そんな事を思い出しながら走った。

家の中に入って咲の部屋に行くと、荷物も何もなかった。

机の上に置き手紙。

『龍吾へ
邪魔してごめんなさい。
好きな人と幸せになってね
咲より』

ふざけんな。

俺は公園に走った。
何言ってんだよ咲。
俺が好きなやつはお前だって言っただろ。
信じろよ!
くっそ…。
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