~これが私の生きる意味~

涼 SIDE

〜涼 SIDE〜


「お世話になりました」


そう言って立ち去ろうとした杏里の腕を掴んで引き止めた。


だって杏里の瞳は、朝見た時と、何ひとつ変わっていなかったんだ。



―――――
―――




俺は、秘書の車で仕事に向かう途中だった。





「社長、今日の予定ですが……」





信号待ちしていた車の窓から見えたのは、密かに想いを寄せていた杏里の姿だった。




…何で、こんな時間にこんなところにいる?



「社長、聞いてますか?」


ここは、ビルが建ち並ぶオフィス街だ。
杏里は学生だ。しかも杏里の通う学校は、もちろんこの辺りにはなく、この場所から車で30分程行った所にあるのだ。




「社長」

『…あぁ』




今は8時過ぎだから、もうそろそろ学校だって始まる時間だ。





「はぁ。聞いてませんね…」



私服でどこへ行く?
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