赤い流れ星3
「……どうか、されましたか?」

「い…いえ…
わ、私達はこういう場所は不慣れなので、なんだか…あの……」

私は答えにもならないそんなことを言って作り笑いを浮かべた。
シュウさんは怪訝な顔をしながらも、私に小さく頷いた。



「では、こちらへどうぞ…」



店内にはモデルさんみたいな若くて綺麗な女性達がたくさん来ていて、お酒を飲んで笑ってる人や、広いホールでダンスをする人達…
まさに、お城の舞踏会みたいな、日常とはかけ離れたとても不思議な感覚…
お客さんは多いけど、思ったより騒がしくないから妙に落ち付く。
私が行った時は、なんだかものすごく騒がしかったのだけど、お店によっていろいろなのね。
それにしても、広い…
もしかしたら、ビルの1フロア全部がお店なのかしら?
内装にもずいぶんとお金がかかってそうだし、きっと、私達が気軽の来られるようなお店ではないんだと思う。
あたりの様子に目を奪われているうちに、いつの間にか広い店内を突っ切って、私達は奥の個室に案内された。




「わぁ…」



実際に見たことはないけれど、イメージでいうと貴族の居間のような部屋。
家具も窓も大きくゆったりとしていてすごく寛いだ雰囲気で、窓から見える夜景がこれまたとても見事で…
部屋の中には、カラオケのためなのか小さ目のステージまでがあった。



「さぁ、どうぞ。」

私達はふかふかしたソファに座るように促され、いつの間にか着いて来ていた若いホストさん達がその脇に着いた。
シュウさんとは違って、甘いマスクの可愛いホストさん達だ。



「大河内さん、今日は本当にどうもありがとうございました。」

シュウさんは、KEN-Gさんに名刺を渡し、あらためてご挨拶をされていた。



そ、そうだ!
店のことでついぼーっとしてしまったけど、それよりも、この人…
「神咲愁斗」さんとおっしゃった…
それは、確か、シュウさんの名前で…
それに、シュウさんに会われた時のKEN-Gさんのあの態度…
今だって、瞳を潤ませてシュウさんをじっとみつめられて…

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