赤い流れ星3
「そんな堅苦しい呼び方はせんでええ。
わしのことはKEN-Gと…いや、爺さんで構わん。」

「まさか、そんな…」

「……すまんが、シュウよ…『おい、爺さん』と呼んでくれんか?」

「えっ…!?」

シュウさんは困ったような素振りをされていたけど、KEN-Gさんの顔が真剣そのものだったためか、シュウさんは口端を上げて一呼吸置くと…



「おい、爺さん、何、飲むんだ?」

「お……おぉ……」

KEN-Gさんは、感極まった様子でハンカチで口許を押さえられた。



(やっぱり、KEN-Gさんは賢者さん…
そして、この人はシュウさんなんだ…)



私はそう確信した。
信じられない話だけど…まだわからないことはいっぱいあるけど、それでも私はその考えが決して間違いではないと思った。



「俺のことは、シュウと呼んで下さい。
それと、こいつはジョー、こっちは純平…よろしくお願いしますね。
あの……お二人のお名前、教えていただけますか?」

「あ、わ、わ、私は野々村です。」

不意に声をかけられ、私が焦ってそう答えると、シュウさんはどこかおかしそうに微笑まれた。



「苗字じゃなくて、名前の方を教えて下さい。」

「あ、あぁ…み、美咲です。」

「美咲さんですね。
どうぞよろしくお願いします。
……あなたは?」

「は…はい……わ、わ、私は……」

美幸さんは私以上に動揺されてる様子で、真っ赤になって俯いて大量の汗を流されていて、とても見ていられない状態で…
私が、代わりに紹介しようかと考えてたら、美幸さんはなんとか自分で答えられた。

「み…み…いえ……ひ、ひかりです!」



なぜ、美幸でなくひかりと言われたのかはわからない。
だけど、今はそんなことも訊けないし、とりあえず、私もあわせておこうと思った。
ふと、見ると、KEN-Gさんはなんとも言えず嬉しそうな…安心したような表情をされていて…



(そっか……
シュウさんとひかりさんが無事に巡り会えたからなんですね…)



KEN-Gさんは、二人がこの世界で再び巡り合えることをずっと願ってらっしゃったんだろう…
KEN-Gさんのそんなお気持ちを思うと、私も胸が熱くなった。
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