赤い流れ星3




「ひかりちゃん、次は僕と一緒に歌わない?
『ロンリースターダスト』のジュカのパートを僕が歌うから、ひかりちゃんはマナマナのパート歌ってよ!」

「良いねぇ!
私、あの曲大好きなんだぁ!」

最初は可哀相なくらいに緊張されていた美幸さんも、少しお酒が入り、ホストの純平君がアニメファンということがわかってからはすっかりリラックスされたようで、とても楽しそうに過ごされていた。
KEN-Gさんは、とにかく今日は感動で胸がいっぱいらしく、お酒を飲まれると余計に涙もろくなってしまわれて少し心配な程だった。
ここへ来るのもいやがってらっしゃったくらいだし、きっとKEN-Gさんはただ秘書さんに言われた通りに行動されてらっしゃるだけで、ビルの借り主のことなどは気にもされてなかったんだろうな。
当然、今夜のシュウさんとの再会の事なんて、予想もされてらっしゃらなかっただろうから、その感動は一入だったのだと思う。
私は、もう一人のホストさんのジョーさんやシュウさんとお話させてもらっていたのだけど、二人共、話題に事欠かないし気配りも出来るし、私は思わず胸の内を全部さらけだして相談したいような気分になってしまった。
美幸さんやKEN-Gさんの手前そんなことは出来ないのはわかっているけど、二人との会話だけでも随分と気持ちは晴れた。



(だけど、どうしてあの賢者さんがこっちに…?)



まだわからないことだらけだ。
そして、それをどうやって調べたら良いかもまるでわからない。

シュウさんと美幸さんは、お互いに相手のことを覚えてる様子はない。
だから、せっかく出会えても、この先、二人がまた以前のような関係になれるかどうかもわからない。



(でも、二人はとにかく出会った…
これからは、私も出来るだけのことをして、お二人の力になりたい!)



美幸さんと純平さんの息のあったデュエットを聞きながら、私は心の中でそんなことを決意した。



「ひかりちゃん、歌、上手だね!」

「え~…そんなぁ…」

席に着いた途端、ジョーさんに誉められて美幸さんは嬉しそうにはにかむ。

その時、扉の向こうでざわざわとした物音と女の人のヒステリックな声がしたかと思うと、乱暴に扉が開かれた。
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