赤い流れ星3
side 美幸




(……どういうこと?)



兄さんの様子がなんだか少しおかしい気がした。
今朝は確かに機嫌が悪かったけど…
夕方にはなぜだか機嫌はすっかり直ってた。
だから、安心して出て行ったんだけど……兄さん、なにか疑ってる?



私はさっきの電話をもう一度思い返した。
まず、兄さんは私が今どこにいるか聞いて……



なんでだろ?
昨夜、遅かったから今日はちゃんと早くに帰って来てるかのチェック?
ま、今日はアッシュさんっていう証人がいるんだから、問題ない。
アッシュさんは私より先に家に帰ってたからね。



それから……
そうそう、野々村さんと食事に行ったのかって訊いて…
帰りは別々だったのかって訊いた…



ん……?
おかしいぞ。
野々村さんの家とうちは反対方向だから、帰りが別々なのはわかってるはずなのに、どうしてそんなことを…?
私も咄嗟に嘘を吐いてしまったけど、あんなこと言わずに、「うん、別々にタクシーで帰ったよ!」って言えばよかったのかな…



そもそも、兄さんがなんでそんなことを訊ねるのか…だよ。
もしかして、野々村さんとおじいさんが一緒にいる所を見た!?
……いや、そんなことはあるはずない。
あったら、そう言うはずだもん。
じゃあ、野々村さんの家に電話でもした?
それで、野々村さんが家にいないから、そんなこと訊いたの?
……いや、違うな…
急用なら、きっと携帯にかけるはずだもの。
あ……もしかして、また、この前みたいに野々村さんの携帯の電池が切れてるのかな?

それを確かめるため、野々村さんにメールを打ってみようとして……やめた。
だめだめ。
せっかくのおじいさんと二人っきりのデートを邪魔なんて出来ない。
それに、たいしたことじゃないかもしれないし、もう少し様子をみてみよう。
とにかく、今日、おじいさんと会っていろいろ買ってもらったことがバレてさえなければ良いんだけど……



あ……やっぱり、それはないな。
そんなことがバレてたら、兄さんがあんなに冷静でいるはずがない。
すぐに怒る筈だもん。
だから、バレてはいない筈だよ。
でも……だったら、何だったんだろう…?

兄さんの電話のことは気になったけど……DVDを見ているうち、いつの間にか私はそんなこともすっかり忘れ、アニメの世界に浸りこんでいた。
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