赤い流れ星3
side 野々村美咲




「おぉおぉ…あんなに急いで…
ひかりは、和彦さんのことをずいぶんと怖がってるようじゃな。」

「え……えぇ、まぁ……」

「和彦さんはどういう人なんじゃ?」

「どうって……しっかりした良い方ですよ……」



そう答えた後で、私はしまったと思った。



……ついさっき、美幸さんがあんなことを話されたばかりだもの…
合コンに行って、その晩は早速そこで知り合った女性と……

KEN-Gさんみたいな年代の人には、青木さんはただの女たらしとしか映らないかもしれない。



でも、そんなんじゃない…
青木さんは、美幸さんのことをとても真剣に考えられていて、しっかりはされているけど、意外な程繊細な所があって、純粋で……



昨夜、シュウさんのホストクラブに行って…いろいろとびっくりすることはあったけど、思いがけず楽しい想いも出来て…
青木さんが合コンに行かれたことで沈んでた私の心もほんの少し元気になったと思ったら、さっきの話……



正直言って、すごくショックだった。
それがどれほど馬鹿げたことかもわかってる。
青木さんが何をなさろうと、青木さんの勝手。
今までだって、青木さんはたくさんの女性とお付き合いをされて来られてて…
それが、亜理紗さんのことで一時期大人しくされてただけのことだもの。
それに、元々、私には希望なんてない。
若くも美しくもなく、才能もお金もないこんな私を相手にしてくれる人なんていない。
青木さんは、あんなにも素敵でいろんな才能をお持ちで、社長さんで、私よりお若くて……
女性なんて選り取り見取りなんだもの…
私には砂粒程の可能性もない。



考えれば考える程、私は胸が張り裂けそうな想いを感じた。



「……野々村さん!……どうかしたのか?」

「えっっ!?あ…あわ…べ、別に……」

KEN-Gさんは怪訝な顔で、私をじっとみつめられて…
私、そんなにぼーっとしてたのかしら…



ふと、近くのテーブルに目を移した時、そこにいた男性が飲まれてるビールに目が停まった。



私は、反射的に呼び出しボタンを押して、ビールを注文した。
なんだかもうどうにも心が苦しくて……
家で一人で飲んだりしたら、もっと気持ちが落ちこみそうだから、ここでKEN-Gさんに相手をしてもらいながら少しだけ飲んで、そして、帰ったらそのまま寝てしまおうと…
そう考え、私はビールを注文した。
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